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ゲームの同人小説です。 シリアス&ほのぼの中心。 更新はかなりスローペース…
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幻水Ⅴ
ザハーク*王子


月下美人:花言葉『ただもう一度会いたくて』


花言葉と中国の偉い人の言った言葉がテーマです(馬鹿)

ロミジュリは素敵だよね(偉い人関係ない…)

人には見せない弱さや優しさは美しいと思うのです。
それを見せれる唯一がいることは奇跡だと思うのです。








『蝶になった夢を見たのか、蝶が見ている夢なのか…』




月の明るい夜だった。
音もなく静かな月夜。
こんな夜はあの人を思い出す。

冷たく光る鋼色の髪。
皆が恐れたその眼差しの奥に優しい温もりが見えた。

月のような人。

冷たいようで誰よりも優しい人。
誰よりも近くにいてくれた人。

今は傍にいない、決別を選んだ人。

「今、貴方は何を見ている?」

月に囁く。

同じ月を見ていれば良い。

貴方は愚かと笑うだろうか。



離れていても貴方を想う。











月明かりに照らされた部屋。
懐かしい声に呼ばれた気がして目を覚ます。
あの日から繰り返す愚かな行動。

あの日、決別を選んだあの革命の日。

大切な人が大切にしているものを全て奪った日。
太陽宮が沈んだ日。

小船に乗せられ逃れる姿に安堵した。
あの時 感じた胸の痛みは今も尚この身を苛み続けているけれど。

(…あの革命は必要なものだった)

どれほどの血が流れようと。
どれほどの犠牲を払おうと。

大切な人の心をどれほど傷つけようと。

ズキリと一層強い痛みに胸を掴む。

この痛みは己の咎。
彼だけが終わらせることが出来る。

(あの方の手によって悪は打たれ、人々は声を大にして言うだろう)

『あの御方こそがこの国の守護者だ。なくてはならない方だ』

あの人の居場所を作る。
それだけが今の自分の望み。

彼の望む世界を。

その為にココに残ったのだから。

全てを捨てて、大切な人さえ傷つけて。
戻れない道を選んだ。

後悔はない。
目的の為ならば手段など選ばない。

どれほど血が流れても。
どれほど血に汚れても。

(最後に笑うのがあの方ならばそれで良い)

傷は時が癒すだろう。
この大地が息を吹き返すように。

血に濁った水は澄み、焼き払われた緑は蘇る。

……けれど。

けれど、もし。

もしも願いが叶うなら。

一目で良い。

一目で良いから。

(…笑顔が見たい)

おこがましい願いに自嘲の笑みが零れる。

(全てを奪っておいて今更…)

淀んだ空気を入れ替えようと窓辺に立つ。
開け放った窓から風とともに流れ込む甘い香り。

広い庭園に一つだけ咲いた白い花。

月の光を浴び一際 強く輝いて見える純白の花。

(…まるであの方のようだ)

優しい光に映える美しい白い花。
闇を包む慈悲の色。

ふと月の光に何かが煌く。

目を凝らすと一羽の蝶が舞っていた。

派手な模様もなく、掌にすっぽりと収まるほどの小さな蝶。

美しい青銀色の羽。

脅かさぬようにそっと手を差し伸べる。
ひらひらと舞い踊る蝶は迷いもなく差し出された指先にとまる。

羽を何度か揺り動かして、ようやく安息を得たというように。

「…こんな夜更けに何をしている」

そっと声を潜めて蝶に語りかける。
普段の自分ならばこの行いこそを愚かと笑い飛ばしたことだろう。

本来、蝶は夜には飛ばない。

光に群がる蛾なら兎も角。

この美しい青銀があの手のものには思えなかった。

「あの月に惑わされたか」

蝶に話しかける自分に笑う。

(私は何をしているのだろうか)

ただ、似ていたのだ。
この美しい羽とあの髪色が。

「…ファルワタート、殿下」

今、あの澄んだ青い瞳には何が映っているのだろう。

小さな囁きに蝶がフワリと飛び立つ。

思わず目で追った先に映る美しい満月。

ヒラリ、ヒラリと月を後ろに蝶が舞う。

銀色が煌く。

「…貴方も今、この月を見ているのか」

何故そう思うのか、自分自身にもよくは解らないけれど。

きっと同じ月を見ている。
そんな確信があった。



離れていても貴方を想う。







優しい月に照らされて、白い花は美しく咲く。

一夜限りの月下美人。

白い花は月に消え行く小さな蝶をただ静かに見送っていた。











眩しい日の光にファルワタートは目を眇めた。

「おはようございます、王子」

明るいリオンの声に微笑む。
今日は気分が良い。
とても良い夢を見たから。

「おはよう、リオン」

ゆっくりと大きく息を吸い、朝の新鮮な空気を味わう。
ああ、本当に今日は気分が良い。

「良い夢でも見られましたか?」

楽しそうな声に笑顔を返す。

「ああ、とても幸せな夢を見たんだ」

どんな夢だったか覚えてはいないけれど。
そっと呟いて窓越しの空を見上げる。

青い空に眩いほどの太陽。

覚えているのは月の光、白い花、そして…

優しいあの人の声。

「…本当に、幸せな夢だった」

小さな囁きは空に飲まれて消えた。

太陽は今日も変わらずに輝いている。



あの優しい月を美しく照らすために。









『蝶になった夢を見たのか、蝶が見ている夢なのか…』







End

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