ゲームの同人小説です。
シリアス&ほのぼの中心。
更新はかなりスローペース…
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ルクス小説第3段。
単身赴任なリュウ(笑)
アツキとリュウのイメージを強調してみました(解り辛いが…)
リュウ=闇
アツキ=月
管理人にとってはそんなイメージ。
リュウ*アツキ(アツキは出てきませんが…) (シリアス)
注)流血表現あり。
単身赴任なリュウ(笑)
アツキとリュウのイメージを強調してみました(解り辛いが…)
リュウ=闇
アツキ=月
管理人にとってはそんなイメージ。
リュウ*アツキ(アツキは出てきませんが…) (シリアス)
注)流血表現あり。
如月市の大掛かりなサイレント駆除から幾ばくかの月日が流れた。
フォートの施設に戻ったからと言って何かが変わるわけではない。
ただ、任務をこなす毎日。
アツキもリュウ・イーもなんら変わることのない日々を送っていた。
そんな日常に飛び込んできたサイレントの急激な大規模感染の報告。
遠く離れた二つの国で同時期にオリジナルサイレントが複数確認されると言う稀なケースだった。
一つについては既にオリジナルサイレント感染者が特定されており、後はその後始末のみとなっていた。
ただ、サイレント自体の感染力が強く、並みの能力者では近寄ることも難しいとの報告があり、並み以上の能力者であるリュウ・イーがその任務へと抜擢された。
もう一つに至っては、オリジナルの確定も出来ておらず、また、複数であることは確認されたものの、正確な数も分からず、事態は悪化の一途を辿っていた。
この事件に関しては大規模なサイコビューイング能力を持つナツキと精密なΣの持ち主であるアツキが当たることとなった。
任務自体は単純なものだった。
確認されたターゲットに接触し、その心ごとサイレントを食い潰す。
アツキがちょろちょろと動かない分、常よりも速く片付くかもしれない、とリュウ・イーは微かに溜息を吐いた。
問題はそのアツキだ。
移動のヴァンの中、リュウ・イーは無意識のうちに眉間に皺を寄せていた。
既にアツキとは別行動をとっており、あちらの動きを把握することは出来ない。
フォート施設からナツキのアシストがあるとはいえ、あの甘ったれが馬鹿な真似をしでかさないとも限らない。
アツキに気をとられ、任務に集中できないことにも苛立ちが募る。
「あ、あの…」
目を硬く瞑り、不機嫌だと言う気配すら隠さないリュウ・イーにどこか気弱な声が掛けられた。
険しい顔のまま、リュウ・イーは顔を上げ、向かいに座った男を睨み付けた。
リュウ・イーと歳の近い男だった。
今回のサポート役を担うことになった能力者。
先ほどから一人で喋り、一人で笑っていた。
正確には間を保とうと必死でリュウ・イーに話しかけていたのだけれど…
半ば八つ当たりのような怒気を向けられたその男は顔を引き攣らせ、かろうじて笑顔と呼べる表情を保っていた。
何の用だ、と視線で問うリュウ・イーに男が恐る恐る口を開く。
「あ、あの、そんなに、心配しなくても、さ、西城君なら、大丈夫だと、お、思いますが…」
緊張のため、舌が回らないのか男の言葉はたどたどしく、次第に語尾が小さくなっていく。
けれど、リュウ・イーはその言葉に僅かに目を見張った。
確かに先ほどまでアツキの無謀な行動について考えていた。
しかし、心の障壁は解いてはいない。
完全なブロックではないとしても、そう簡単に能力者の心は読めない筈。
例え相手が『心を読む』ことを専門とした能力者であっても。
視線をきつくしたリュウ・イーに男は慌てて顔の前で手を振った。
「よ、読んでませんよ!?ただ、その、ちょっと、零れていた、と言うか…」
パタパタと忙しなく手を振る男にリュウ・イーは呆れたような視線を向ける。
要するに、ブロックから零れ落ちた思念を無意識に読み取ってしまった、と言うことだろう。
そこまで気が緩んでいたかと己の失態に舌打ちをする。
…たかだか数日、離れるだけだと言うのに。
どうにも調子が狂う。
苛立ちは増し、リュウ・イーの眉間の皺が深くなる。
障壁を厚くし、己の思考を完全にブロックする。
気配までも消し去ってしまったリュウ・イーに男はどこか気まずそうに話しかけてきた。
「…パートナーなんですから、心配ですよ、ね」
伺うような視線を鬱陶しく思いながらもリュウ・イーはただ黙ったまま、眼を閉じていた。
男はそんなリュウ・イーに焦ったように更に語調を強めて話し続ける。
「あ、あの、僕、西城君に、憧れてるんです!」
ピクリ、とリュウ・イーの眉が動く。
「凄いですよね!まだ、すごく若いのに『ルクス・ペイン』に選ばれるなんて!」
…アツキを若いと言うなら、ナツキに至ってはどうなるんだ、と小さく呟いてみるも、男は自分の話に夢中になっているのか気付かない。
「冷静で、大人びていて、サイレントを恐れない勇気を持っていて…」
男の言葉にリュウ・イーの顔つきが徐々に険しくなるも男は気付かない。
己の言葉に酔った様にアツキを賛美する言葉を紡ぐ。
「その上、綺麗で、優しいだなんて、完璧、ですよね」
最後の言葉には、どこか自嘲する響きが含まれていたように聞こえた。
「僕も、そんな風に、なれたら、彼女も…」
勝手に盛り上がり、今度は勝手に落ち込み始めた男をリュウ・イーは睨み付けると低い声で告げる。
「貴様の事情など知らん。興味もない。貴様の彼女とやらに関しても、だ。だいたい、アツキは完璧などではないし、大人びてもいない。アレはただの甘ったれた餓鬼で、アレの行動は勇気とは呼ばない」
語気を荒げることもなく、淡々と低い声が告げる。
けれど、その言葉の端々から苛立ちと怒りが滲み出ていて、男を怯えさせた。
「…子供の癇癪と一緒だ。あいつは、怒りと憎しみの衝動で動く」
それはアツキに向けた苛立ちか、それとも、アツキを我が物顔で語った男への怒りか。
声は低く、その気配は既に凍える冷気のようで。
「それを、『無謀』と言うんだ」
吐き捨てるように呟くと、もう話すことは無いとばかりにリュウ・イーは硬く目を瞑った。
その後、車内には会話もなく、ただ、重苦しい沈黙が充満していた。
男は、ポツリとリュウ・イーに謝罪し、現在、結婚を前提に付き合っている女性がいると語った。
同じ組織に所属するピークスの一員だと言うその女性に認めてもらえる男になりたいのだと、小さな声でポツリ、ポツリと語る。
心を読む能力者だといっても、アツキのそれとは比べることも出来ないほどの微々たるものでしかなく、これといって特技もない。
Σも才能のうちに入るのならば、まさしくアツキは天才だ。
アレほど精密なΣの持ち主はそうはいないだろう。
『彼はまさしく神に選ばれた人間』
ポツリと零された男の言葉に違和感を覚え、リュウ・イーは相手をじっと見詰めた。
暗い瞳だった。
暗く濁った、それはまるで、サイレント感染者のような…
リュウ・イーが気配を険しくすると同時に男は雰囲気を一転させ、先ほどのようなぎこちない笑顔を浮かべる。
車内は再び、沈黙に包まれた。
事態が急変したのは、それから僅か2日後のことだった。
あの男が姿を消したのだ。
オリジナル感染者と思われる人物と共に。
街は既にピークスによって包囲されており、包囲網は徐々に狭められていた。
あの男の恋人だと言う女性も同じ任務についており、心配で碌に眠れないのか酷く憔悴した顔をしていた。
そんな緊張状態が続く中、男の捜索をしていたピークスの一員から連絡が途絶えた。
男を見つけたと言う報告中に不自然に切られた回線。
場所は当初、オリジナルサイレント感染者が生活していたと思われる古びたマンション。
感染力の強いサイレント。
当初より任務に当たっていた男。
感染者特定のため、接触していた。
何度も。
その心に。
そして、食われた。
自我を。
魂を。
重い扉をゆっくりと開く。
嘗て感染者が生活していた居室。
心の中、鈍く響く警鐘。
経験が語る。
既に、手遅れだ、と。
重い扉。暗い室内。
扉の隙間から差し込んだ光に反射する床。
一歩を踏み出し、その間違いに気付く。
光を跳ね返していたのは、床ではなく、そこに広がる血溜りだと。
錆びた匂いが鼻を掠めた。
血溜りに、一人の男が立っていた。
その腕も、顔も、全身を血で赤く染めた男がゆっくりと振り向く。
『ヤあ、リゅう・イー』
あの男が、歪んだ笑みを浮かべ、血溜まりに佇んでいた。
声は不自然に濁っており、まるで別人のようだった。
男の背後に二つの塊が無造作に倒れていた。
嘗て、人間であったそれは、既に原形を保ってはいなかった。
切り裂かれ、切り落とされ、唯の肉塊へと化したそれをリュウ・イーは感情を消した瞳で冷たく一瞥すると、男へと視線を戻した。
男の手は血に濡れており、その手には大振りのナイフが握られている。
全身に返り血を浴びたその姿は、まさにサイレント感染者の成れの果てだった。
転がった死体のうち一つは嘗てのオリジナルサイレント感染者のものだろう。
残りの一つは連絡が途切れたピークスのものか。
二つの遺体は損傷が酷く、見分けることは困難だった。
『素晴ラシイだろう?僕は、力を手に入レタんだ』
恍惚の表情で男が語る。
大きく天を仰ぎ、見えない神に向かって微笑む。
『こレデ、彼女をシアワセに出来る』
濁った瞳。不自然なノイズの混じる声。
『僕は、神にエラバレタ』
リュウ・イーの凍える瞳が暗く輝く。
彼の影がざわめいた。
空間が凍りついていくような気配。
リュウ・イーのルクス・ペイン『ランスロット』が冴えたる輝きを放つ。
「ああ、そうだな」
低い声が暗い室内に響く。
リュウ・イーは闇を恐れない。
闇が彼を恐れるのだ。
「貴様は撰ばれた。サイレントに、闇に、そして」
闇を伝い、影が走る。
恍惚の表情を浮かべていた男の顔が驚愕に歪む。
響き渡る悲鳴。
恐怖に引き攣る顔。
男が纏わり付く影を振り解こうと足掻き、体中を掻き毟る。
「…死神に、な」
全ては一瞬だった。
リュウ・イーの呟きが暗い室内に響く。
己が作り出した血溜まりに男はゆっくりと倒れ込んでいった。
控えていたピークスたちが後始末に動く中、リュウ・イーはマンションの駐車場から空を見上げていた。
夕日で赤く染まった空を何故か忌々しく感じて眉を顰める。
アツキの顔が浮かんだ。
ああ、そうだ、と心の中で呟く。
こんな血のような夕日よりも、あいつの瞳が良い。
穏やかな、月が見たい。
一度、目を瞑り、大きく息を吐き出すとリュウ・イーはヴァンに向かって歩き始めた。
自分の役目は終わった。
此処に留まる理由はない。
後から女性の泣き叫ぶ声が聞こえた。
振り向くと、ピークスによって運び出されたあの男に縋りつき、声を上げて泣く女性が見えた。
もう二度と目覚めることはないだろう男に縋り、「どうして」と何度も繰り返していた。
静まり返ったマンションに彼女の叫びが響く。
慟哭、とは、きっと、こういう声を言うのだろう、と心のうちで呟く。
足を止め、ただ見つめていると、女性がリュウ・イーの視線に気付き、顔を上げた。
見開かれた瞳が絶望と、憎悪に歪む。
震える唇が、小さく呟いたのが見えた。
『悪魔』
彼女の瞳からは涙が溢れ、縋りついた男の頬を濡らしていた。
心を食われ、泣くことすら失った男の分まで、泣いているかのようだと、そう思った。
赤い空は徐々に闇に飲み込まれていく。
全てが闇に覆われたとしても、いずれ、月が優しく照らすだろう。
そして、闇を穏やかな夜へと、変えてくれるのだろう。
月よ、美しくあれ。
何者にも染まらず、凛と輝け。
小さな呟きは闇に飲まれる空へと消えた。
月は、まだ昇らない。
今は、まだ。
END
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