ゲームの同人小説です。
シリアス&ほのぼの中心。
更新はかなりスローペース…
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幻水Ⅴ
ザハーク*王子
ちび王子は愛らしいに違いない(馬鹿)
そんな愛らしい王子の専属護衛をザハークがしていたら良いのに(妄想)
最初は保護者的に見守っていたのが王子の成長とともに愛に変われば良いのに(妄想2)
もう愛とか超えれば良いのに(?)
理屈じゃないんだ!(臨界点)
こんな管理人が書いた話です…
ザハーク*王子
ちび王子は愛らしいに違いない(馬鹿)
そんな愛らしい王子の専属護衛をザハークがしていたら良いのに(妄想)
最初は保護者的に見守っていたのが王子の成長とともに愛に変われば良いのに(妄想2)
もう愛とか超えれば良いのに(?)
理屈じゃないんだ!(臨界点)
こんな管理人が書いた話です…
簡素な部屋。
華美な装飾も無く、生活に必要なものだけが置かれたがらんとした室内だった。
女王騎士に与えられる生活スペース。
勿論、手を加えることは禁じられていないので、各々が過ごしやすいように変えていくことも可能だ。
しかし、この部屋の主はそういったことに全く興味が無かったのか、与えられた当初と何一つ変わることの無いまま生活していた。
「…相変わらずだな、ザハーク」
フェリドがしみじみと呟く。
床には埃一つ無く、全てが整然と片付いている。
片手に書類を持ったまま、どこか居場所無く佇む。
あまりに片付いている為、自分の存在さえ溶け込めないようにすら感じるのだ。
「花でも飾ったらどうだ?少しは変わるぞ?」
苦く笑いこの無機質な部屋の主へと声をかける。
「花と言う柄ではありませんので」
相変わらず一分の隙も無く女王騎士の正鎧を着込んだザハークが同じような書類を手に振り返った。
なるほど、やはりこの部屋の主だけはある、とフェリドはしみじみと頷いた。
この無機質な部屋に当たり前のように溶け込むこの男にもまた、やはりどこか生活感と言うものが欠けているのだ。
「…やはり花を飾るべきだぞ、ザハーク」
腕を組んでうんうんと一人頷くフェリドにもザハークは眉一つ動かさない。
いつものことだからである。
「こちらの書類で間違いは無いでしょうか、フェリド閣下」
フェリドを無礼にならぬ程度に軽く無視し、ザハークは手にしていた書類を差し出した。
それを受け取り、軽く目を通す。
「ああ、これだこれだ。悪いな、やはりこちらに紛れ込んでいたようだ」
豪快に笑うフェリド、表情の変わらないザハーク。
まさに対極の二人である。
「いえ、私のほうこそ申し訳ありません。事前に確認しておくべきでした」
己の不手際だと詫びる生真面目な部下にフェリドは複雑な顔で顎を掻いた。
先の大戦の後、ファレナには女王騎士は数人しか居らず、またこの書類のように国に関わる重要な検案を任せることの出来る信用のおける人材も少ない。
ザハークはその数少ない一人であり、仕事量も半端ではない。
無理を言っていると自覚があるだけに詫びねばならないのは自分のほうなのだが、いくらそう言ってもこの頑固者は納得しない。
「…まあ、気にするな。あまり根を詰めると身体に毒だぞ」
その肩を軽く叩き、ふと気付く。
「ん?お前、今日は非番ではなかったか?」
一応、女王騎士にも休みはある。
街に出掛ける者、ゆっくりと休養する者と様々ではあるが。
何故、非番にも正鎧を着ているのかと首を傾げたとき、遠慮気味に扉がノックされた。
「どうぞ」
一瞬ザハークの雰囲気が柔らかくなったように見えた。
フェリドは思わず目を見張ったが既にいつもの無表情だ。
目の錯覚かと更に首を捻った。
「父上?」
扉からひょこりと銀色の頭が除く。
「ファル、どうした?」
予想外に現れた可愛い愛息子をフェリドは抱き上げ、母によく似たその顔を覗き込んだ。
まだまだ低い身長。
少女のように愛らしい顔立ち。
母譲りの長い銀髪は綺麗に結ってあり、尻尾のように揺れている。
10歳になったばかりの子どもにしてはしっかりとした言葉使いをする我が子をフェリドもアルシュタートも溺愛していた。
王子いうことで謂れの無い迫害を受けていることも知っていた。
それらから護ってやれない自分達の非力さに何度打ちのめされたことか。
そんなときでさえ、この愛しい我が子は微笑み、大丈夫だと、逆に両親を慰めた。
そんな健気な子を愛さない親があるだろうか。
「どうしたのだ?俺に用か?」
小さな頭を撫でながら訊ねる。
ファルワタ-トはどこかそわそわとした様に視線をザハークとフェリドへと行き来させている。
「あの、街に降りても良いですか?」
頬を高潮させ、キラキラとした眼差しで伺う我が子にフェリドは僅かに顔を曇らせた。
「ザハークも一緒だから」
必死に頼み込む我が子に頷いてやりたい気持ちはあるが危険なのもまた事実。
確かにこの女王騎士が一緒ならば万に一つも間違いは無いだろうけれど。
「女王陛下にはお許しを頂いております。人通りの少ない朝のうちの数刻のみ、危険と判断したのならばすぐに戻るように、と」
傍に無言で控えていたザハークが静かに口を開いた。
どうやら、自分の知らないところで話は進んでいたらしい。
なるほど、道理で非番のこんな朝早くから正鎧を着込んでいるわけだ。
少々複雑ではあったが滅多に我侭を言わない我が子のお願いを無視できるはずも無く。
「…気を付けるんだぞ?絶対にザハークから離れてはならんからな?」
その顔を覗きこみつつ念を押せば輝くような満面の笑み。
この笑顔に勝てるものがあるのならつれて来い、と本気で思う親馬鹿なフェリドであった。
朝の街はまだ人通りも少なく、行商人も疎らだ。
もう後半刻もすれば朝市が始まり、この通りも賑やかになるだろう。
ザハークは幼い王子の手を引きながら常に周囲に警戒していた。
数年前にアーメスとの戦は終わりを迎えているが何時なんどき敵国からの刺客が襲い来るとも限らない。
王位継承権は無いとは言え、幼い王子が狙われないとも言い切れないのだ。
そんなザハークとは対照的に幼いファルワタートは目に映るもの全てが珍しくて仕方が無かった。
せっせと溜めたお小遣いを握り締め、色取り取りの店へと目を輝かせる。
危険なことは朧気ながらにもわかっていた。
あの大きな戦いの後、何度もアーメスは女王に向けて刺客を放っていたから。
『カクリヨノモン』という言葉も何度か耳にした。
それが何かはわからなくとも、とても恐ろしいものだということは理解できた。
それでも、今日、この朝市にどうしても来たかったのだ。
ある物を買いに。
「あ!」
一際目立つ店にファルワタートは小さく声を上げ、立ち止まった。
その小さな手に引かれザハークも歩みを止める。
「あの店ですか?」
訊ねると嬉しそうに頷く。
はやくはやくとザハークの手を引き、店へと駆け寄る幼い王子に僅かに微笑む。
やはり、連れ出してよかった、と。
当初、ファルワタートは一人で城を抜け出すつもりだったらしい。
それに感付いたザハークは王子を問い詰め、そして説得した。
そんな危険なことは決してしてはいけない、街に出たいのならそれをきちんと陛下にお願いしなくては、と。
そのままの勢いで王子を引き連れ、女王の元に許しを貰いにいき、その護衛の任を半ば強引に奪い取ったのだ。
勿論危険だと反対はされたが自分が休日を返上して供をする、決して危険な目になど合わせないと何とか説得した。
最後にはやはりフェリド同様、王子の笑顔に押し切られた形であったような気もするが。
城の中にいるとき、この幼い王子あまり笑わない。
表情が無いわけではないが、やはりその表情は硬く、苦しげだった。
今、この瞬間のような歳相応な表情を見たのはとても久しぶりで。
息を切らせて王子が辿り着いた先にあったものは、ずらりと並べられた大きなビン。
それに詰められた色取り取りの小さな丸い飴玉。
「すごい」
ファルワタートは呆然とそれを見上げ呟いた。
確かにこれほどの種類はザハークも初めて見る。
ファレナにあるのは精々『のど飴』くらいだろう。
「…なるほど、ミアキス殿が言っていたのは『これ』のことか」
まだ幼いリムスレーア姫の護衛を務める歳若い女王騎士。
独特のテンポで周囲を驚かせる発現ばかりする少女だが腕は確かだ。
その彼女が先日、珍しいものがこのソルファレナに来る、と騒いでいたのを思い出す。
確かその傍には王子もいたはずで。
『母上も父上もみんなすごく急がしそうで、いつも疲れた顔してるから…』
王子が城を抜け出そうとしたとき、理由を尋ねたザハークにファルワタートはポツポツと話してくれた。
何か自分に出来ることは無いか、と考え込んでいたときに聞こえてきた色取り取りの甘い飴玉の話。
疲れたときには甘いものが欲しくなる、とふざけて騒いでいたミアキスの言葉をしっかりと聞いていたのだろう。
疲れた両親や女王騎士たちを慰めるために危険も承知で、たった一人で町に降りようとしていた幼い王子にザハークは誇らしささえ感じていた。
ザハークはファルワタートが生まれえた時より彼の護衛を任されている。
その成長を誰よりも傍で見守ってきたのだ。
どこか親にも似た感情を抱いていたのかもしれない。
ザハークが物思いに耽っている間にもファルワタートは店主と笑顔で会話をしている。
城内では何かと貴族連中に疎まれがちな王子だが城下ではその女王によく似た顔立ちと優しい性格から大勢の民に慕われていると聞いていた。
今も年老いた店主は王子に対してまるで孫を見るような優しい表情で接している。
「全部の種類を8個ずつ下さい」
注文通りに小瓶には色とりどりの飴玉が詰められていく。
小さな小瓶が8本。
中にはキラキラと光を反射して輝く小さな飴玉。
袋に並べられたそれらに王子は嬉しそうに笑った。
慌しくなってきた市場をあとにし、城へと戻った二人をフェリドが入り口で出迎えた。
どうやら心配で仕事が手に付かなかったらしい。
王子を抱き上げ、市場はどうだったかとしきりに訪ねる。
ファルワタートは楽しげに今日見たものを笑顔で話している。
その様子にフェリドもようやく落ちついたのか、王子を下ろしザハークへと向き直った。
「すまなかったなザハーク。ゆっくりと休んでくれ」
労いの言葉に礼をとり、その場を後にしようとするが後から袖を引かれ振り返る。
そこには輝きを秘めた小瓶を両手で差し出す幼い王子。
「殿下?」
僅かに戸惑っているとファルワタートはニコリと笑った。
「いつもありがとうザハーク」
光が小瓶を通して煌いている。
その輝きにザハークは目を細めた。
「ですが殿下、これを私に渡してしまったら殿下の分がなくなってしまうのでは?」
そっと小瓶を押し返すと同じだけの強さで押し返される。
「僕は良いんだ。みんな一生懸命頑張ってるのに僕は何も出来ないから」
幼い妹も既に女王になるために勉学に励んでいる。
女王騎士たちも両親も国のために必死に働いている。
何もしてないのは自分だけだから、と王子は呟く。
ファレナの王族の男子には王位継承権が無い。
そのためあまり重要視されず、最低限の教養さえあれば良い、という考えが今まで根強く残っていた。
現女王に世代が移り、王子を虐げるような悪政は確かに減ったがそれでも全てが変わったわけではない。
「殿下、そのように仰られてはいけません。殿下はこうして陛下や閣下を、ましてや我々の事まで想ってくださっているではありませんか」
まだ幼い王子。
大切なのはきっとこれから何をするか、だ。
フェリドは少し離れた場所でそんな二人の様子を目を細めて眺めていた。
最愛の妻と我が子の将来について話し合うことは尽きないようだ。
国を変えねばならない。
より良き方向へ。
笑顔で溢れる国へ。
その後、王子は買い求めた飴玉を皆に配って歩いた。
美しい母は顔を綻ばせて喜び、父は常にその小瓶を持ち歩いた。
兄に反発している妹も渋々と言うように受け取ったが一人になると瓶を光に透かしそのキラキラとした宝石のような飴玉を嬉しそうに眺めていた。
勿論それは女王騎士にも与えられ、あるものには喜びをあるものには戸惑いを与えたと言う。
そして、あの簡素で無機質で生活感の無い部屋には輝き秘めた小瓶が一つ。
王子の部屋にもやや小ぶりな同じもの。
半分に分けられた飴玉は暖かな日の光を反射してキラキラと輝いていた。
End
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