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ゲームの同人小説です。 シリアス&ほのぼの中心。 更新はかなりスローペース…
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ルクス第一作目です。

若干ゲーム内容にネタばれあります(いつもか…)



リュウ*アツキ(ほのぼの?)





エドワードとの壮絶な戦いの後、アツキはAMS銀行前の石階段に一人座り込んでいた。
疲労し、倒れ組むように眠ったナツキをノーラに任せ、ただ、夜の静けさに耳を傾ける。
ピークスのメンバー達が銀行内へと慌ただしく出入りしている。
担架へと乗せられた人影が見えたがすぐに待機していた特別車両へと担ぎこまれた。

先ほどまで、恐ろしいほどの威圧感を自分に向けていた老紳士はもう存在していない。

リュウ・イーのランスロットが彼の心を食らったから。

遠ざかっていく車のランプ。
後始末をしていたピークスも撤退を始めたようだ。

「…アツキ」

ぼんやりと車を見送っていたアツキの背後から掠れた低い声が掛けられた。

「リュウ・イー」

首だけで振り返りぼんやりとその名前を呟いた。

「何をしている。帰って休めと言われただろう」

疲労感を隠せない声音に苛立ちが混じっているのを感じた。
重い足取りで階段を下りてくるリュウ・イーをアツキはぼんやりと見上げた。

エドワードとの戦いは確実にアツキの精神を蝕んでいた。
普段以上のΣの行使。
熾烈なほどの殺気と害意に当てられ、精神と連動したように肉体にも負荷がかかっていた。

それ程の強大な相手だった。

リュウ・イーが意識を失うほどのダメージを与えた相手。
攻撃が本分ではないアツキのΣが勝利できたのは奇跡と呼べるだろう。

気を抜くと遠のきかける意識を必死に保つ。

「…怒らないのか?」

頭に中に靄がかかったように思考がはっきりとしない。
ただ思ったことがそのままアツキの口をついて出た。

「いつもなら、怒るだろう。『何時からスイーパーになった』って」

リュウ・イーが疲れたように溜息を吐き、ゆっくりと階段を下りてくる。
アツキの隣に立つとその鋭い瞳で見下ろす。

「そんなことを言うためにお前はこんな場所にいたのか」

詰問の響きを乗せた言葉が頭上から降ってくる。
腕組みをし、眉間に皺を寄せたリュウ・イーがアツキを睨む。

アツキはぼんやりと思う。
リュウ・イーが、此処にいる、と。

いつも通りの冷たい声。
鋭い視線。
気配を感じさせないくせに背筋を這う冷たい威圧感。

良かった。
リュウ・イーが帰ってきた。

湧き上がる安堵にアツキは微笑む。
薄っすらとした微笑だった。

微睡む様なその表情にリュウ・イーが僅かに目を瞠る。

月の光にコンタクトを外した右目が輝いていた。
月の光をそのまま閉じ込めたような穏やかな黄金色。
障壁を張っているはずの心の深淵に手を差し伸ばされるような感覚。

「アツキ?」

何も言わず微笑むアツキにリュウ・イーが手を伸ばした。
もとより白い顔は更に青白く生気がない。
額に手を触れその顔を覗きこむとアツキは半分意識を手放しかけていた。

「オイ、しっかりしろ。こんな場所で寝るな。アツキ、聞いているのか?」

細い肩を掴み揺らすとアツキの身体が大きく傾く。

「アツキ!?」

倒れる身体をとっさに抱え、アツキの名を呼ぶ。
腕の中の温もりと意外なまでの細さに僅かに身じろぐ。
スースーという規則正しい寝息が聞こえ、リュウ・イーは顔を顰めた。

「…非常識にも程があるぞ、アツキ」

仮にも瀕死の危機にあった人間の腕の中で昏倒するように眠る奴があるか。

心の中で呟くも、アツキがここまで消耗した原因の一つに自分が関わっていることは確かだ。

エドワードと対峙するのは自分の役目だった。

その為のスイーパーであり、『ランスロット』だ。

不覚を取った自覚はある。

最後の瞬間に間に合ったことだけが救いといえるだろう。
それまでの経緯はともかく、アツキにエドワードの心を潰させるわけにはいかなかった。

「…遅くなって、すまなかったな」

腕の中で眠るアツキにそっと呟く。
聞こえるはずのないその言葉にアツキが身じろぐ。

リュウ・イーの腕に頬を摺り寄せるアツキを見つめ、溜息を吐く。

流石に病み上がりのこの身体ではアツキを抱え歩くことは辛い。
しかし、疲れきって眠るアツキを起こすのも忍びない。
仕方なく、その場でアツキを横たえ、その頭を膝に乗せ座り込んだ。

さらさらとした質感の髪に指を絡ませる。

今回もこの心は護れただろうか。

人との繋がりを無意識のうちに遠ざけるアツキの心は恐らく、未だ幼いままなのだろうと漠然と思う。

大人びて見えるその雰囲気とは裏腹にアツキの内面には激しい業火が燃え盛っている。

悔恨、悲しみ、怒り。

サイレントに対する憎しみが今のアツキを形作っている。

それでも、アツキはまだ最後の一線を越えてはいない。
人らしい感情を失ってはいない。

リュウ・イーはただアツキの横顔を見つめた。

「…お前は、俺のいないところで勝手に消えるな」

呟く声にもアツキは眠り続ける。
その顔は安らぎに満ちている。

ふと、先ほどのアツキの微笑を思い出し、薄く笑う。
忙しく動き回るピークスを尻目に見ながらリュウ・イーは空を見上げた。

月の光はただ優しく、夜の闇は穏やかだった。






END
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