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ゲームの同人小説です。 シリアス&ほのぼの中心。 更新はかなりスローペース…
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久しぶりのルクスペインです。

過去を勝手に妄想中。
これで公式設定が出てきた日にゃあ目も当てられない…(いつものこと)

設定としてはリュウ・イー20歳
アツキ11~12歳くらいの気持ちで書いてます。

今、手元に公式ガイドが無いので年齢間違ってたらすみません…

アツキはリュウ・イーに助けられていたら良いのにな妄想。

とりあえずリュウ・イー視点で。

アツキ視点は出来上がり次第UPします(いつになるやら…)










沈黙が支配する暗闇。
室内に充満する死の匂いに長身の男は不快気に眉を顰めた。

目前の血溜まりに無造作に転がる肉塊。
小さな塊だった。

無数の長い髪が血に染まって落ちている。

精密さを欠いた自身のΣでさえも感じ取れる死への恐怖。
痛み、苦しみ、悲しみ。

同じような光景を何度も目にした。

血の匂いは最早さして気にならず、命を奪うことにさえ心は動かない。

殺すことを生業としてきた。
殺さなければ生きていくことが出来なかった。

そんな自分でさえも、目前の存在に怒りを覚えるのだ。

獣じみた荒い呼吸。
その手も、腕も、顔も、体中を赤に染めて、こちらを威嚇するように唸り声を上げている。

食事を邪魔されたことへの怒りか、本能が告げる恐怖か。
暗闇に光る二つの眼がこちらを窺っていた。

サイレントに食い潰され、最早、人の心も失ってしまったのだろう。
ぎらぎらと光る眼には飢えと渇き、そして破壊の衝動しか窺えない。

哀れで愚かな姿だ。

心を律することも出来ず、サイレントにつけ込まれた人間の末路はいつでも男の心を荒ませた。

こんな惨めな姿になってまで生へと執着するのか。

「…貴様には安寧な死など与えはしない。永劫の闇を彷徨い続けるがいい」

凍えた低い声が最期を宣告する。
その姿はまさに死神と呼ばれるに相応しいものだった。

昨夜から降り続いていた雨は漸く上がり、厚い雲の隙間から月がその姿を覗かせていた。
青い月に照らされ、男の片耳にのみ付けられたピアスが冷たく輝いていた。





『生存者一名を確認』

その知らせに待機していたピークスたちが俄かに活気付く。
ほぼ絶望的と見られた生存者の救出。

待機した医療車に運び込まれてきた少年の姿は凄まじいとしか形容できないものだった。
左腕は無残にも引き千切られ、顔の右半分は血に染まり、判別できない。

大量の出血により、意識は既になく、呼吸も弱々しく、今にも止まってしまいそうなほどだった。

その場にいた全員が言葉を失った。
これはもう助からないと、諦めと悲しみに唇を噛んだ。

…ただ一人を除いて。

「何をしている。さっさと処置をしろ」

低い声がその場に響く。
医療車の扉に凭れるように立った長身の男へと全員の視線が集まった。

「リュウ・イー……ですが、この出血量では、もう…」

医療スタッフの一人が悲痛な表情で口を開いた。
最後まで口にできず、少年から目を逸らした。

その間も男の視線は血に塗れた少年へと向けられている。
感情を表さない黒い瞳が微かに上下する少年の薄い胸へと注がれる。

「お前達の役目はそいつを救うことではない」

告げられる言葉に皆が首を傾げた。
確かに少年の傷は深く、大量の出血にこの細い身体は耐えられないだろう。
出来ることと言えば徒に死の瞬間を引き伸ばすことぐらいか。

「一秒でも長くそいつを生かしておけ」

少年を見下ろす男の瞳は夜の闇よりも黒く、まるで深淵のようだった。
誰もが自ずと息を殺し固唾を呑んだ。

男の周囲のみが別の空間のように凪いでいた。

「本部に運ぶ。それまで息があればいい」

消して大きくはない、静かなその声に、その姿に周囲は圧倒される。

「その先、生き残れるかどうかは、そいつ次第だ…」

低い呟きと共に男は背を翻した。
夜の闇に溶け込むかのように遠ざかるその姿に誰もが安堵の表情を浮かべた。

目前の少年の呼吸は変わらず弱々しいままだった。
彼らはその微かな命を僅かでも引き延ばすために処置を施すべく動き出す。

リュウ・イーは言った。

『救うことが役割ではない』と。
今はまだ意味がわからなくとも、彼の言葉にはいつも何かしらの理由がある。

彼が何を考えているのかは計り知れずとも、自分たちは彼の言うようにこの少年を生かしておけば良い。

否、生かしておかなければならないのだ。

白く、細い幼い腕に何本もの管が繋げられていく。
輸血用の血液が管を通り、その華奢な体へと注がれる。

モニターに映し出される心拍数は、弱々しくその存在を主張していた。

カチャカチャと金属の触れ合う音のみが響く医療車に、遠く微かなヘリの振動音が届いたのはそれから間もなくのことだった。





規則正しく鳴り続けるモニター音。
白い壁に囲まれた病室の中央にはベッドが一つ。

横たわる少年の左腕には無数の管が繋がり、顔の右半分には幾重にも包帯が巻きつけられている。

失った筈の『左腕』
潰された筈の『右目』

まるで死んだように眠る少年をリュウ・イーは静かに見下ろしていた。

少年の左手の指先に光る指輪。

『ガウェイン・リング』

リュウ・イーの指先が自身の左耳に触れる。
指先に伝わる硬質な感触。

冷たい筈のそれが常よりも熱を持っていることに気づく。

「…共鳴しているのか」

リュウ・イーの呟きに答えるように左耳にのみ付けられたピアスが微かに光る。

『ランスロット』

それがリュウ・イーに与えられた『ルクス・ペイン』の名だった。

『聖なる痛み』という名を冠したアクセサリー。
肉体の復元力等の飛躍的な能力の上昇と形なきサイレントに対抗しうる力を授けてくれる神の装具。

それと同時に罪在る者が身につけると神の鉄槌が下るとも言われている。

『罪有る者』

その言葉にリュウ・イーは笑う。

罪有る者に『ルクス・ペイン』は適合しない。
ならば自分は何なのか。

人の死を生業にしてきた自分に罪はないというのか。

おそらくこの少年も同じことを思うだろう。
妹の死をただ見ていることしかできなかった自分に罪がないのか、と。

少年が意識を失う間際に感じた強い思念。

サイレントへの憎しみ。
生きたいと願う叫び。

ただ、生きたい、と。

サイレントを滅するが為だけに。
憎しみゆえに願う生への執着。

だからこそ、リュウ・イーは少年の心を食らわなかった。
その心にサイレントの感染の兆しを見ても。

その憎しみがサイレントを食い潰し、新たなる力とすることを期待したのだ。

その結果が『ルクス・ペイント』との適合であるのなら。

この少年は自らの力で、命を勝ち取ったことにはならないだろうか。
『ルクス・ペイン』という未知なる力ではなく、人間の意志の力で。

リュウ・イーは久しく感じていなかった昂揚感を胸に抱き、少年を見つめ続けた。



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